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キレイになんて泣けない。



たまたまTVがついていて

たまたま始まった「99年の愛」という5夜連続のドラマ。

最初は全然興味がなくて、チャンネルを変えていつも見ているドラマを見て、何もないな~と戻って来たら、そこからもう釘付けになって。

もう本当に最後のほうだったのだけれど、その時耳に入ってきたセリフが、私のおばあちゃんがよく言ってた言葉だったから。

「お産は病気じゃない」

私のおばあちゃんもそう言って、ドラマと同じようにお産翌日には働いていたそうで、よくその話を聞かされていたので、反応してしまったのだ。

昨日も続きが気になったので見ていたら、長女も一緒に見はじめて、娘たちが船で日本に渡るとき「行くな」と泣いた母と娘たちが抱き合うシーンで親子で泣き泣き・・・。

娘たちが旅立った後、一人号泣する母の姿のシーンで長女が

「すごい泣き声。ピン子おっさんみたいや・・・」

と言うので

本当に悲しいとき、キレイになんか泣かれへん。この人の演技力ってすごいって思うわ」

と言ったら、

「お母さんはこんな風に泣いたことあるん?」

と聞かれた。

うん、ある。

その時はきっとドラマのように、おっさんみたいな泣き声になってたと思う。

とんでもない泣き顔だったと思う。

口から潰れた心が飛び出してきそうだった。掻きむしりたくなるくらい喉の奥が苦しかった。

あれは悲しい、じゃない。もうただひたすらに苦しいのだ。

うちの娘たちも、いつかそんな風に泣くのだろうか。

自分の力ではどうにもならないことに直面し、苦しくて苦しくて、涙に身を任せるしかない辛さを味わうことがあるのだろうか。

だけど、娘たちに言えるのは「このドラマのように、この時代の人たちのこの想いとは全然レベルが違う」ってこと。

私の亡くなったおじいちゃんがいつも言ってた。

「今、この時代の、この日本という国に生まれたことに感謝しないといけない」

なんだかんだ言っても、幸せなんだよ、と言われているような気がする。

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